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レストラン&コミュニティ「Iomante(イオマンテ)」

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シェフの気まぐれレシピin釧路

バター不足? 

  • 2015.5.27
  • 食材 食育 食生活

テレビや新聞にも出ていました。

「バター不足なので追加輸入します。」という話題。

 

バターが不足している現状と原因については、様々な因果関係や利害関係などの憶測が、ネット上でも話題にしばしばなっています。

ぼくは、その辺の難しいところは、とりあえずどうでもよくて、

ひとりの消費者として、バターをつかう料理人としてこう考えました。

 

『バターがないんなら、ほかの食材でなんとでも代用できるから、べつに輸入しなくてもいいよ。』

 

まず、誤解を招かないように言いますと、

僕の仕事であるフランス料理にとって、バターはとても大切な素材であるし、プライベートでもバターは大好きで、朝食のトーストにも欠かせないし、無いと不便である。

「海藻バター」なんて商品を販売しているぐらいなので、僕にとってバターは大切な食材のひとつです。

 

でも、足りないんなら、何とでも代用はできる。

朝食のトーストにバターが無いのなら、チーズでも良い。最近はパンに合う味噌や、野菜のペースト、ポークリエットなんていうものも美味しい。いっそのこと、米を食べてもいいだろう。
そもそも、プライベートで生活をしていて、そんなにバターを使う事なんてあるのか?(本当に不足しているのか?って思ってしまう)

魚のムニエルなど、魚や肉をソテーするときに、バターを使う人もいるかと思いますが、 あれ、ほとんど無駄ですよ(笑)

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バターはご存知の通り焦げやすいです。何かをソテーしようと、熱々のフライパンに最初にバターを投入したら、ただ焦げるだけ。(経験ありますよね)
(繊細な味わいを求めてバターでソテーするとき、僕たちは『ブールクラリフェ』といって、バターを溶かした上澄みだけを使い焦げないようにしています。)でも、そんな事を家庭でやる必要はないだろうし、僕自身も店では、たとえば白身魚のムニエルであれば、最初にオリーブオイルで焼き始め、焼きあがりが近づいたら余分な油を綺麗に拭き取って火を止めて、それから最後にバターを少量フライパンに入れて余熱で仕上げる。というように、バターの風味が飛ばない調理方法をとっています。

オリーブオイルなどの油脂類が普及していなかったり、肉や魚などの素材そのものが流通過程などで粗悪であった時代は、バターだけで焼くのもアリだったかもしれませんが、

そんなのは50年も前の話。

いまは、素材そのもの、バターそのものの特性を活かす調理法を、日本人は覚えていくべきだと思います。

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あとは、洋菓子類。

 

新聞なんかでも「クリスマスシーズン」が深刻らしいのですが、、、

あんなのうそでしょ?

クリスマスケーキってこと? 生クリームが足りなくなるって話なら解るけど、クリスマスケーキでバターが足りなくなるなんて、意味不明です。
専門的な話になるのですが、いまの時代の「クリスマスケーキ」のような、いわゆるスポンジケーキのスポンジは『パータ・ビスキュイ』という生地が一般的です。卵黄と卵白に分けてそれぞれ泡だてて、タップリの空気を含ませてふっくら柔らかく焼き上げる生地です。(普通このビスキュイにバターは使いません)

一方、一昔まえは主流だった『パータ・ジェノワーズ』という、全卵ごとしっかり泡だてて焼き上げるスポンジ生地の場合は、工程の最後に溶かしバターを入れる事が多いのだけど。でも、ワンホールのケーキに入れるとしても、ほんの少し量のバター。(油脂を入れすぎたら、卵の気泡がつぶれて焼きあがりません)

 

ということで、全国民1億2千万人がワンホールずつ食べるんだったら、まあ足りなくなりそうですけど(笑)

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クリスマスケーキよりも、たぶん「焼き菓子屋さん」のほうが深刻ですね。クッキーやサブレとかタルトとかは主原料がバターです。(←でも、あくまで“バター”でちゃんと作っている焼き菓子であればのこと。)

だから、僕の場合は、もしバターが手に入らないんだったら、キッシュとか焼き菓子とか、メニューから外します。でも、それだけです。 不足騒動が落ち着けばまた作ればよい。

 

 

ちょっと調べてみたら、今年度の国内予想需要は7万5千トンらしい。生産予想量は6万5千トン。 『1万トン足りないから、輸入します。』

 

 

幼稚園レベルか(笑)

 

年間7万5千トン、1億2千万人で割ったら、ひとり当たり600gちょっと(意外に少ないですね・・)の量。

で、不足分が1万トン?だとしても、全国民がこの1年間の間に80g弱のバターを我慢すれば良いだけのことだろう?

 

なにもスーパーの棚から無くなるレベルではないのに。いったい何なんだ!

 

 

百歩譲って、本当に足りないことにしよう。だとしても、

 

「パンにはバターの代わりに、チーズでも味噌でも良い。」

「ムニエル焼くときのバターは仕上げに少量でよい」

「クリスマスケーキに“バタークリーム”ではなく、生クリームのケーキを選べばよい」

 

それで、十分。

 

ちょっと足りないからと言って、簡単に(相手国がどこの国か知らないが)輸入するなんて考えないで、代わりの食材をもっと自分の足元で見つけることは出来ないのだろうか?

 

バターが足りないことは残念でもあるが、国内の他の食産業にとってはチャンスでもある。

せっかくの国内の新しいチャンスをみすみす潰し、本当に必要なのかどうかわからないものを国外にお金を払って輸入する。

 

 

そもそも、さんざん関税だなんだっていって規制かけておいて、急に『すいません足りなくなったから、いまだけ売ってください』という、取引なんてありえるのか?
さらに、去年なんかも輸入しているしいが、そんな輸入品、見たこと無いぞ(笑)

 

深く考えれば、深く考えるほど、難しい領域と黒い影(笑)

 

いやいやそんな難しい話は、やっぱりどうでも良い。ぼくが想う事は単純。

 

『バターが無いなら、自分の周りに代わりになるようなおいしいもの沢山ありますよ。 それを見向きもしないで他所に簡単に頼ると、巡り巡って自分の仕事がなくなります。』ってこと。

 

バターだけではないですけどね。

 

*ちなみに「くしろ海藻バター」は、輸入品は一切使用しておりません!(って当たりまえか(笑))

投稿日 / 2015年5月27日 14:49:41

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