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レストラン&コミュニティ「Iomante(イオマンテ)」

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シェフの気まぐれレシピin釧路

「クレジットカード」について【真面目】

  • 2017.5.21
  • うんちく・小ネタ

最近、チラホラ耳にします。「クレジットカード」に関する話。

たとえば、『釧路は観光客が立ち寄る飲食店でクレジットカードが使えないことが多い。観光客を増やそうとする街なのに、このままでいいの?』や、

先日の新聞記事でも、市内で行われた観光立国ショーケースに関するフォーラム内で『インバウンド観光客が立ち寄るお店でカードが使えないのは論外』という意見があったとも紹介されていました。

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今日は真面目な話を書こうと思います。数字のお話が嫌いな方は、もうここでページを閉じたほうが良いです(笑

(お料理の話題を楽しみにされている方は、申し訳ありません。)

 

さて、イオマンテではクレジットカードの利用はもちろん可能ですし、日々の営業でもだいたい6割~7割のお客様がカードでのお支払いを頂いております。

 

そして、筆者である私(オーナーシェフ)個人の意見も、『観光都市であれば、クレジットカードがどの飲食店、小売店でも利用できるのは当たり前』と考えています。

ですので、冒頭の意見に大まかには賛成できます。

 

==========

 

ただ、いろいろな方のお話や意見をお伺いしていると、ほとんどの方が、飲食店の数字的な状態を知らずに、

『このご時世にクレジットカード使えないって?』
『ちょっとくらいの手数料をケチるより。カード利用を促してお客さんが増えたほうがいいじゃないか。』
『釧路を代表する飲食店に限って使えないよね~。』

と、それぞれの立場でお話しされているので、

 

今日は飲食店の立場から、ご説明をさせていただきます。

 

(クレジットカード利用不可の飲食店が、反論説明しても、なかなか聞き入れられないと思いますので、あえて利用可能であるお店から、ご説明いたします。)

 

・「なんで飲食店はクレジットカード使えないところが多いの?」と訴えている市民の方
・観光産業推進にたずさわる行政関係の方
・観光推進に関わる、民間団体および委員の方
・カード取次事業者の方

上記の皆様にとくにお読みいただきたく思います。

 

===①加盟店手数料===

(一般の消費者の方は知らない方がいらっしゃいます。(まあ知らなくてあたりまえですね。僕も自分でお店やるまで知りませんでした。)

 

まず、お店でクレジットカードをお客様が利用できるようにするには、カードの加盟店にならなくてはなりません。

そしてお客様が飲食店で飲食代お支払いにカードをご利用になると、その売上から決められた手数料を引かれた売上が、後日飲食店にカード会社より支払われます。

 

その手数料は、カードの種類や、また加盟店の業種によってもパーセンテージが変わってきます。

ネットで検索すると、みなさんもすぐに調べる事ができるのですが、

概ね、

飲食店:4~7%
小売店、専門店:3~5%
百貨店:2~3%
家電量販店、コンビニエンスストア:1~1.5%

と、いうのが一般的のようです。(イオマンテも上記の範囲内です)

これは消費者の皆さんは知らないですね?

じつは、上記の様に業態によって加盟店手数料が違うのです。

ですので、まず釧路市内で昨今問題にされている釧路ならではの飲食店や小売店は、大手量販店等に比べて、クレジットカード導入にともなう手数料が割高であることを知ってください。

ようするに、『コンビニで1000円をカードで支払ったら、コンビニがカード会社に支払う手数料は10円。近所の定食屋で同じく1000円をクレジットカードで支払ったら、定食屋がカード会社に支払う手数料は70円かもしれない。』ということです。

 

「なんでこんな差が?」って思いますよね?

 

おそらく、カード会社さんは、カード利用者からの支払い回収リスクを考慮して、業態ごとの手数料率設定をしていると思います。
カード会社もビジネスです。赤字ではできません。

ですので、ただ手数料を安くしろっていうのもおかしな話。
この件は『カード会社vs飲食店』だと、ポジティブに前進はしないと思います。2者協議ではなく、行政や地域の商業団体なども交えて、“観光立国”地域特区的な取り組みが必要ではありませんか?「導入後1年間は手数料補助(その後2年は継続義務付き)」とかかな?

観光客も増えて売上もあがり、カード利用者も増えれば、どちらも得なはずです。

 

 

===②飲食店の利益構造====

 

①で手数料率について説明しました。飲食店であれば4~7%が一般的のようですが、

『たった4~7%でしょ?ぞれでも、お客さんが増えたらそっちの方がもうかるでしょ?』って、厳しい声も聞こえてきそうです。

 

ところで、飲食店の利益率ってどれくらいだか知っていますか?

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「

こういう利益率の話をすると、「そんなの関係ない」とか、「めんどくさいからわからない。」とかいう方がいらっしゃいますが、そういう人は、クレジットカードを使えないお店に文句を言ったりしないでくださいね。お客様にお店を選ぶ権利があるように、店舗側にもカード利用の可否をえらぶ権利もありますから。お互いを知らないと議論はすすめられません。

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1000円のランチ、ラーメン、スパゲッティ。

そこからお店が得られる『利益』ってどれぐらいだと思いますか?

 

 

答え:「100円」

 

 

あくまで一般的な数字です。でも基本は、「売上の10%が利益とできれば優良企業経営」として、金融機関に評価されます。(むかし、むかし、某政府系金融機関より配布された冊子にも書かれてたくらい、飲食店は10%が目標とされています。)

 

(これは僕の私見ですが、皆さんが「釧路を代表する飲食店」とおもっているお店のほとんどは、たぶん10%を下回っていると思います。およその原価や働いている人数なんかをみれば同業種であれば想像できます。)

 

では、皆さんが食べて支払った1000円はどんな風になっているのか?

グラフを作ってみました。

無題

・食材原価はそのまんま「材料代」。野菜やお米や、お肉や魚、調味料などなど、お弁当屋さんなんかは容器代も含まれますね。

・人件費 アルバイトから社員まで、全スタッフの給料です。法人であれば役員報酬、個人であればその給料もここに含まれます。

・家賃・光熱費・消耗品など その他に含まれる一切の経費です。通信料、割り箸、広告料、トイレットペーパー、スタッフユニフォームのクリーニング代。釧路の末広地区であれば、お客様の利用した駐車場料金負担分もここに入ります。

・利益 売上から上記の経費を差っ引いた部分が利益となります。そして、多くの飲食店は「開業時資金」や「設備改修費」などとして金融機関から借り入れがありますから、この「利益」部分が、その返済原資となっているのです。

 

簡単に説明しました。
で、上記の比率で飲食店は『優良企業』ですから(笑

ほとんどのお店は、上の状態を維持できなくて苦しんでいます。(僕も・・・)

 

たぶん、ほとんどの飲食店は利益率7~8%位のところが実質の数字でないでしょうか?(そこから借り入れ返済しますので、実質2%とか、ゼロとか)

僕らは(たぶん他の業態の会社さんも)、この数%の違いで、生き残るか倒産するかなのです。

 

その飲食店に皆さんは、こう要求しているのです。

『あなたのお店の利益7~8%のうち、4~7%をカード手数料で払ってください。それが釧路のためです。』

 

あなたが飲食店の立場であったら、YESといいますか?

 

 

 

===③飲食店を取り巻く経営環境=====

 

原材料もどんどん値上げしてます。最近は値下がりしたものなんて無い。
だいたい10年前に比べて概ね10%は上がっている、とくに肉類は顕著。

 

もういちど、②で出した利益率のグラフを見てください。

 

10年前、1000円のランチをつくるのに「300円」原材料必要だったお店は、現在は「330円」になっているはずです。
だからいまは、「1030円」に値上げしておかなければ、いけない。じゃないと「7~8%」しかない利益のうちうち「1%」を失うことになるから。

 

人件費も驚きの上昇!(北海道の最低賃金を見たって明らか、10年前の平成19年は「654円」、現在は「786円」。)

10年で「132円」も上昇している。約20%の上昇。

10年前、1000円のランチをつくるのに、「300円」人件費必要だったお店は、現在は実質「360円」になっているということです。最低でも「1060円」に値上げしておかなければいけない。

 

そして、10年前と違うことがもう一つ。

「消費税」

5%から8%に、なりました。

10年前、1000円のランチだったお店は、単純に「1028円」でなければいけません。

 

 

これら3つの事案。

原材料上昇、人件費上昇、消費税増税を単純に足し算しただけでも、

 

 

1000円のランチをやっていたお店は、今は1118円の価格設定でなければいけないのです。

しかも、あくまで、「最低限必要な値上げ」の数字。

特に人件費については、いまどき繁華街等で「最低賃金」でアルバイトの雇用は不可能であろう。お店によっては、10年で1,5倍(50%の上昇)にもなっていることろもある。その場合はもっと値上げが必要。

 

ここ10年間は、激動だった。

みなさんが「このお店、釧路を代表するお店なのに、カード使えないの?」と思うお店は、おそらく10年前からあるお店が多いのではないだろうか。

そういったお店ではすでに『○○の料理はだいたい○○円』と価格が定着していることが多い。ゆえに簡単に値上げが出来なく、すでい利益構造が破たんしているのだ。

それを、「お店の主人が経営下手なんだ」の一言で済ますのは自由だが、結果的に皆さんが「釧路の味」と誇っているおみせはどんどん姿を消し、なにも残らないだろう。

 

 

そして、カード利用手数料に関してもうひとつ問題がある。

『釧路を代表するグルメが1000円前後のランチ需要商品に特化されている』ことだ。

 

クレジットカード利用に関するトラブルで、『ディナーでは使える店が、ランチタイム時は利用できない』というのをよく耳にするのではないでしょうか?

そうなんです、ほとんどの飲食店はランチ営業の価格設定は「粗利」(売上ー食材原価)はあっても、「利益」(粗利ーすべての経費)は無いんです。

だからそこに「カード手数料」を経費算入すると、売れば売るほど赤字が増えるという地獄絵図(笑

 

なので、冒頭のご意見

『ちょっとくらいの手数料をケチるより。カード利用を促してお客さんが増えたほうがいいじゃないか。』は、

1000円前後の客単価の飲食店へは、暴言にしか聞こえないはずです。

だって、1人お客さまが来て、お料理を作ってお出しすることに、20円とか30円とかが減っていくのです。お客さんが増えれば増えるほど赤字が増える。。。意味がわからない。

 

 

==========

 

と、いうことで、クレジットカードを飲食店で使えないことについて、飲食店の立場からお伝えしました。

あくまで、私個人の見解の域はでていません。個々のお店によって事情も異なりますし、ちがう御意見で、カード利用の是非を決めているお店もあると思います。

 

そして、もちろん私たち飲食店側にも、問題は多々あるでしょう。たとえば労務問題。

つい数年前まで、飲食業界の労務コンプライアンスは無茶苦茶でした。
長きに年月にわたって、ものすごい低価格で飲食店での食事が可能であったのは、ほぼそれに携わる従業員の無給労働などの犠牲の上に成り立っていたものです。
これがここ数年、どんどん改善されています。

だから、労働者の犠牲があって成り立っていた「価格」にお客さんが慣れてしまっていて、もうそれを払しょくできない。

(経営者の僕としては、そりゃあ大変ですよ。人件費めちゃめちゃ高いから、笑。でも、こうでもならなきゃ誰もこの仕事しなくなるでしょ? それはもっと寂しい。。。)

これにともない、各お店は色々なところで制限を設け、場合によってはお客様に不便をおかけしております。カード利用の是非も、こういったことの結果のひとつです。

 

 

『観光立国ショーケース』として選ばれた釧路市が、見てくれだけの文字だけではなく、本当に世界中から人が集まるようになることが、私自身も夢であり目標であります。

地元釧路市民の皆様にも、今回のブログのような「細かな情報」を、ちょっとずつ知ってもらい、いま表面化している様々な問題の、新しい解決策や仕組みが、だれかのちょっとしたアイディアから、出来上がることを切に願います。

 

『おねがいします。飲食店をそんなに追いこまないでね。』

 

 

PS、イオマンテはクレジットカード各種ご利用になれます(笑

 

投稿日 / 2017年5月21日 15:23:28

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